2025年6月に配信されたWindows Update(Windows 11向けKB5063060/KB5060842、Windows 10向けKB5060999/KB5060533)を適用した一部のPCで、深刻な起動不能トラブルが発生しています。この問題は、主に2015~2018年頃に販売された富士通、GIGABYTE、マウスコンピューター製PCなどで多く報告されています。
発生した不具合の内容
- Windows Update適用後、PCがBIOS/UEFI画面から先に進まず、OSが起動できなくなる
- 一部機種では「文鎮化」状態となり、通常の手段では復旧できない
- 富士通製PCでは2025年6月13日以降、該当アップデートの配信を一時停止する対応が取られました
技術的な原因
原因は「Secure Boot DBX(禁止リスト)」の急激な容量拡大です。
今回のアップデートで、脆弱性のあるブートローダーを無効化するDBXデータベースが従来の8KBから24KBへと約3倍に拡大しました。
多くの古いPCのBIOS/UEFIはDBXの格納領域や処理能力がこの拡大に対応できず、更新時に異常が発生。結果としてBIOSレベルでフリーズし、OSの起動処理に進めなくなりました。
Secure Boot DBXはセキュリティ向上のために必要な仕組みですが、最大サイズの規定がなく、UEFI側にも容量超過時の保護機能がなかったため、今回のような大規模な不具合に至りました。
影響を受けるPC
- 主に2015~2018年頃に製造された富士通、GIGABYTE、マウスコンピューター製PC
- 特定のハードウェア構成でのみ発生し、全てのPCが影響を受けるわけではありません
対応・復旧方法
現時点で一般ユーザーが簡単にできる復旧方法はなく、メーカーが提供するBIOSアップデートが唯一の実質的な対処法です。
- 各社はSecure Boot DBXの記憶容量を増やした新しいBIOSを順次提供中
- USBメモリなどにBIOSアップデート用ファイルを保存し、書き換えを実施する方法が推奨されています
- 一般ユーザーには難易度が高く、PCに詳しい方や専門業者のサポートを受けるのが安全です
今後の対策・注意点
- まだアップデートを適用していない場合は、Windows Updateを一時停止し、メーカーからの情報を待つのが最善です
- 今後もDBXの容量拡大が続く可能性があり、古いPCでは同様の不具合が再発するリスクがあります
- MicrosoftとPCメーカーは、より幅広い機種での検証や、DBXサイズの制限・管理方法の見直しが求められています
まとめ
2025年6月のWindows Updateは、Secure Boot DBXの容量拡大によるBIOS/UEFIの限界超過が原因で、特定のPCで致命的な起動不能トラブルを引き起こしました。復旧にはBIOSアップデートが必要であり、一般ユーザーには難しい作業です。今後も同様の問題が発生しないよう、ユーザーはメーカー情報に注意し、必要に応じてアップデートの適用を慎重に判断することが重要です。